<過去メール>
放射能探知機


2014.5.12


謹啓

  先週放射能探知機に関するメールを二本お送り申し上げましたが、一本目のメール「台貫と放射能探知機の違い」に、Na-I(ヨウ化ナトリウム)製シンチレータ(発光体)のエネルギー特性を示す表を貼り付けておきました。元素周期表上でナトリウム(Na)を探しますと、三周期、第一族に見つけることができます。 セシウムの安定元素133は、第六周期、第一族に見つけることができます。

  第一族に属する元素は発火性元素です。 第一族の元素の発火、爆発性能を見てみようとして、実験をした米国人らがいます。その実験の時のビデオがYou Tubeで公開されていますので、ご興味がある方は下記のURLをクリックしてご覧下さい。

●1ccのセシウム133で米国製大型バスタブ木端微塵:
https://www.youtube.com/watch?v=cqeVEFFzz7E
(Cs133はビデオの後半で出てきます。)

  弊社が放射能探知機に使用していますシンチレータは、ヨウ化セシウムです。ナトリウム同様に、セシウム133にも安定剤としてヨウ素を加えるのは、前者が発火防止、そして後者が爆発防止の為です。

  ヨウ化ナトリウム(Na-I)製のシンチレータは、屋内用の卓上型探知機(1024チャンネル)に使用されます。理由は、ナトリウムは、水により発火しますが、ヨウ化ナトリウムとなっても水で溶ける潮解性があるからです。その為、安価な材料なのですが、条件が厳しい外置きの探知機には劣化速度が速い為に使用できません。

  我々がご提供しているのは、透明度が高く、密度もプラスチック製シンチレータよりも5倍ほど高いヨウ化セシウム性シンチレータを使用した探知機(新型:1024チャンネル、旧型:32チャンネル)です。一般的には、透明度が高く、密度も高い為にクリスタル系と呼ばれています。尚、シンチレータに使用されているセシウム133はレアメタルに属します。その為、探知性能や資産価値は、半永久的に(落下事故、水漏れ事故除く)落ちません。シンチレータの大きさは、50mm径x350mm長さですが、この大きさが現在の所、製造上の限界になっており、欧州の特定のメーカーでしか精製できません。この事も、価値が落ちない原因のひとつです。

  弊社の屋外設置型探知機が、福島原発事故の後で複数の放射性同位体と探知しました。Cs-134や137、そしてCo-57を探知した時の記録画像を貼っておきます。

  屋外設置型でも、半減期が異なる、この二種類の放射性同位体は別の種類としてそれぞれを探知できるのです。Co-57は、コバルトです。原子炉の下のコンクリートには、コンクリートの強度を高める為にコバルトが含まれていま す。Co-57が検出されたと云う事は、探知した日(2011年3月15~18日)には福島原発の原子炉はメルトダウンして高温のウランなどが原子炉からコンクリートに流れ出た事を示しています。当時は、茨城で探知したこの結果を見て、「こりゃ、大変だ・・・」と思ったものです。

  次回は、「BG(バックグランド)を低くする意味」について、解説させて戴きたいと思います。

謹白
村田幸三