<過去メール>
放射能探知機


2014.3.31


謹啓

  3.11の東日本大地震の後から、”日本製”をうたって販売を伸ばしているプラスチック系発光体使用の業者がいます。それらの業者は、また、測定の原理原則が全く異なる台貫屋を代理店にしているのを良く見聞きします。

  まず、この二つの装置は、学問の領域が根本的に異なります。

  1.台貫 ・・・ 機械工学 (距離を現す㎜、㎝、mの様にg、kg、㌧と云う絶対値がある。目に見えるものを計測する。)

  下記の様に重さに比例してg, kg, ㌧という単位であらわされる数字は、正比例する事を表す様に右肩上がりで直線的に上がって行きます。


  2.放射能探知機 ・・・ 量子力学 (絶対値はない。目に見えないものを探知、計測する。)

  放射線量は直線ではなく、下記の表の中のNa-Iシンチレータの様な曲線を描きます。(シンチレーション式(NaI(T1))曲線参照)
  Na-Iは弊社が使用しているCs-Iに比較して潮解性が高いので、屋外には使用できず、室内の1024チャンネル放射線分析器に使用されています。
  それ故に、放射線量(マイクロシーベルト)計測と言っても非常に難しい計算方式が必要になる事がお分かり戴けると思います。
  ガンマ線を放射する色々な線源(放射性同位体)を使用して、下記のカーブに沿う様に探知機の放射線量計測機能をチューニングする作業の事をエネルギー補償と呼びます。
  プラスチック系発光体使用の探知機では、この複雑で面倒なエネルギー補償作業が出来ませんので行っていません。それ故に、プラスチック系探知機のマイクロシーベルトの値は、簡単な掛け算によって、しかも、線源がCs-137の場合には・・・と云う前提条件付きで表示されています。一言で云うと、顧客騙しの全く意味のない数字と言えます。
  ガンマ線検出器のエネルギー特性

    

<To be continued ・・・、続く・・・>

謹白
村田幸三

追伸;
次号からの放射能探知機関係記述情報項目;
1.何故、空気中をガンマ線が飛んでいるのか?
2.晴れの日と雨の日では、空気中のガンマ線の数(BG:バックグランド)に変化はあるか?
3.変化があるとすれば何故か?
4.製鋼メーカーに納品する日は、雨の日が良いか、晴れや曇りの日、どちらの方が良いか?
5.探知機のアラームって、何か意味があるのか? 製鋼メーカーのアラームを鳴らさない方法とは?
6.BGを下げる方法はあるのか?
7.・・・